ひびくおと
するのは得意。腰に後ろから抱きついたり、頬にキスしたり、寄りかかって甘えたり。ああ、この人が好きだな、って実感するから。
されるのは、苦手。くるりと振り向いて抱き返されたり、優しくおでこにキスされたり、頭をなでて甘やかされたり。だって――胸の奥がきゅうっとして、体中が熱くなって、どうしていいかわからなくなる。
「じゃあ俺ら、似た者夫婦だな」
「……うそだあ」
そのことを打ち明けると、リーバーさんは笑って私を抱きしめた。ほらだから、こんなことをされてしまったら、私は真っ赤な頬を彼の胸元に隠すことしかできない。
「俺、突発的なことが苦手でさ。コハクからしてくれるの、嬉しいんだけど、なんつーか……照れる?」
「わ、わたし、照れるどころじゃないんだけど!」
「だから、俺もだって。コハクがかわいすぎて、どうにかなりそうだ」
そう言いながら彼は、私の髪にキスを落とす。
「なら、試してみるか?」
「ためす?」
体温が離れていく。と思ったら、目の前のリーバーさんは、腕を広げていた。
「ほら。俺は何もしないから、好きにしていいぞ」
「いいの!?」
「はは、嬉しそうだな」
それじゃあ、遠慮なく。私は勢いをつけて、リーバーさんの胸に飛び込んだ。受け止めてくれる身体が頼もしい。ぎゅうっ、と抱きつけば、安心する匂いが私を包み込む。それだけじゃ足りなくて、背伸びして、腕を彼の首に回し、抱き寄せた。首に、鎖骨に、頬に、夢中で口付ける。
「すきよ、リーヴィ」
そして、唇に。ちゅっ、と軽い音。目を開けると――再び、暗闇に飲まれた。たくましい腕が、私の頭を抑え込む。
「り、リーヴィ?」
突然の反撃に、落ち着いていた胸が再び高鳴り出す。どくん、どくん、と耳にまで響いて……と、そこで、気づいた。この低い音は、彼の胸の音だ。
「俺、お前に触れられると、なんつーか、ダメだ」
その声は、とても幸せそうな響きをしていた。