混濁
「やだ、なんで、こわい、ねえ……!」
彼女が "混濁" して3時間が経過した。思い出してしまったものをそのまま放置すれば「あの子」のことも思い出すかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。余計なことばかりを思い出して、僕を見てはガタガタと震えている。ところが、こんなに僕のことが怖いのに、肩を抱く腕を払いのけるどころか、しがみついてくる。本当に混乱しているらしい。
ああ、それにしても。愛しい人が苦しむ姿というのは、これほどまでに胸が締め付けられるものなのか。またひとつ教えられてしまった。
さて、これ以上この子が苦しむ姿は見たくない。早くしてあげよう。こうなってしまった以上、解決方法はひとつしかないのだから。